「……っは、ダメだ!」

危うく、意識がまたもや遠くに旅立とうとする手前。
はたと我に帰り、慌てて時計に目を向ける。

なんだかんだで、気付けば時刻は十一時前を差していて、これだと冗談抜きで徹夜になる。

それから今頃になって危機感を抱き始めた私は、椅子に座り直し、気合を入れ直してもう一度教科書と向き合うも、ペンを握る手は一向に進まない。


……どうしよう。この問題全然意味がわからない……。

勉強は嫌いな方ではない。

自慢ではないけど、学年では割と成績は上位の方で、大体の科目は授業中に理解できている。

だけど、数学だけは全くの別物だ。

どうやら私の頭は数式を受け入れられないみたいで、この科目だけはしっかり復習してもちんぷんかんぷん。

それでも、なんとか課題は一通りは出来たけど、最後の一問目だけは全く歯が立たず、途方に暮れている間に、つい現実逃避をしてしまうのだ。