__幸せな時間はあっという間だった。



あれから、日が落ち始め、一緒に帰ろうとゆう君は誘ってくれたけど、私はまだ家事が残っていたので、それを泣く泣く断り彼を見送った。

ゆう君が居なくなった後、名残惜しさに暫く彼との余韻に浸っていたら、気付けば黄昏時に。

そんなこんなで、帰りが予定時刻より大幅に遅れ、しかも、数学の課題があった事をすっかり忘れていた私は、家に帰ってからようやく手を付け始め、今に至る。

「……はあ~」

悠長なことをしている場合ではないのに、教科書に目を向けても、つい今日の出来事で頭が一杯になり、思わず手が止まる。

どうしよう、全然集中出来ない。

今日中に終わらせなければいけないのに、気付けば彼のことを考えてしまう。


今日この一日で、私はゆう君との距離がかなり縮まったと思う。

再会しても臆病な気持ちが邪魔をして、なんとなく隔たりを感じていたけど、その不安はもうない。

これからは学校でゆう君を見かければ、周りの目なんて気にしないで堂々と話しかけるつもりだし、もっと積極的に彼と関わっていきたい。

そう思うと、明日からの学校生活が楽しみで、気付けば頬が勝手に緩んでしまう……