とりあえず、言われるがまま私もジャングルジムへと向かい、目の前で立ち止まる。

本当にここへ登るのは、落ちた日以来だ。

幼い時と比べて目線が全然違う為、恐怖心は大分薄れているけど、やっぱり抵抗感は否めない。

私は周囲を見渡し、誰もいないことを再度確認すると、恐る恐るジャングルジムに手を伸ばす。

一段、もう一段と段差が上がるにつれ、徐々に増していく緊張感。

平気だと思っていたけど、やっぱりそれなりの高さになってくると、段々と手が震えて、あと一歩というところで動きが止まってしまった。


「ほら」

すると、見兼ねた岡田君は呆れた目を向けながらも、優しく私に手を差し伸ばす。

その瞬間、頭の中で少年時代の彼の姿がフラッシュバックした。


同じだ。

十年前のあの頃と。

何回登っても怖がっていた私に、岡田君は必ず手を差し伸ばしてくれた。 

その表情も当時のままで、懐かしさのあまり涙が出そうになる。

けど、それをぐっとこらえて、私は彼の手を取り、恐る恐るもう一段と足を踏み出す。