「……なあ、登ってみるか」

そして、ぽつりと呟いた一言に、私は目が点になる。

「登るって……私スカートだし」

当然ながら、ジャングルジムに登るだなんて想定しているわけもなく。

気合いを入れて着てきたワンピースなんかで登れば下着は丸見えだ。

「周りは誰もいないし、俺が先に登って、後から降りれば平気だろ。行くぞ」

けど、私の言い分は受け入れてもらえず、岡田君は足早にジャングルジムへと歩き出してしまった。

その後ろ姿を見て、十年前の記憶がふと蘇る。

そういえば、あの頃も岡田君は強引に私を引っ張っていたっけか。 

そんなことをぼんやり考えながら呆然と立っていると、なかなか動かない私を呼ぶ声で、意識が現実へと引き戻された。