「ところでさ、岡田君覚えてる?昔ここでよく遊んでたこと」
それから、ようやく緊張の糸が解け、改めて目を向けた古びた公園内。
遊具などは昔と何も変わらず、ここに来ると幼い頃の記憶を刺激され、憩いの場となっている。
それだけ私にとっては特別な場所であり、この感覚を彼とも共有したくて、期待の眼差しを向けた。
「ああ、もちろん覚えてるよ。お前あのジャングルジムから落ちたよな。軽い捻挫で済んだけど、大泣きして、俺がおぶってお前ん家まで送ったっけか」
「そ、そんなこともあったね。あれ以降トラウマになったから」
覚えてくれていたのはとても嬉しいけど、苦い記憶まで触れられてしまい、何だか複雑な心境に思わず笑顔が引き攣ってしまう。
そんな私の反応を面白おかしく眺めていた岡田君は、ふと視線をジャングルジムへと戻し、なにやら一点を見つめ始めた。