「だから、今までずっと俺を避けてたわけ?」

すると、眉間に皺を寄せながら即座に返ってきた彼の鋭い指摘に、思わず肩が震える。

「え、えっと。その……本当にごめんなさい!」

おそるおそる視線を合わせると、今度は険しい表情で見据えられてしまい、変な汗が流れる。

確かに、状況はどうあれ結局彼を傷付けてしまったことには変わりない。

なので、ここはひたすら謝るしかないと。

私は気持ちを込めて先程よりも更に頭を深く下げた時だった。

突如伸びてきた岡田君の長い指。

その瞬間、無理矢理顎を引き上げられ、驚きのあまり目を大きく見開いたままその場で固まってしまう。

「くだらない。加代は加代だろ。お前がどう変わったのかは知らないけど、俺達が幼馴染だってことは変わらないんだから、何も怖がる事なんてないだろ」

相変わらず不機嫌そうではあるけど、言われた言葉はとても温かくて。


ずっと心の奥で抱えていた氷玉がじんわりと溶け出し、愛しさが溢れ出てくる。

やっぱり、彼は何も変わっていない。

真っ直ぐな目も、優しさも、何でも包み込む広い心もあの頃のまま。

その安心感に気付けば自然と笑みが溢れ落ち、私は小さく頷いた。