それから、通話が終了した後も、現実世界に戻ることが出来ず、私は暫くその場で佇む。

これは夢だろうか。

まさか岡田君から急に呼び出されるなんて。

突然訪れた転機に私の思考は未だついて行けず、頭がぼーっとする。

何故彼がここに居るのか全く分からないけど、この際そんなことはどうでもいい。

とにかく、これから岡田君に会えるという事実に、体がふわふわしてくる……



…………って。


そんな悠長なことを考えている場合じゃない!

そこでふと我に返った私は、今の自分の状態にはたと気付き、慌てて自分の部屋にある全身鏡の前へと駆け出す。

どうしよう。

よりにもよって、今日は茶色と黒の全身ユニコロスタイル。

最近は、海斗さんのお陰で少しだけ洋服に気を遣うようになったのに、今回は家の掃除をするので汚れてもいい格好で来たことが仇となってしまった。

せっかくのまたとないチャンスなのに、こんなみすぼらしい格好で行っては呆れられるかもしれない。

私は暫く鏡の前で頭を抱えていると、ふとある記憶が脳裏に浮かび上がる。