「……ふう。こんなもんかな」

ホコリで汚れた雑巾を洗い終えた私は、額に流れる汗を拭う。

やはり六月になると日中は窓を開けていても少し暑い。
ましてや、あちこち動き回っているから、余計に汗ばんでくる。


私は洗った雑巾を干すと、一息入れるため、広いリビングのソファーに腰掛けた。

時計をふと見上げれば、時刻は気付けば五時手前。

思いの外時間が過ぎていたことに私は少し驚きながら、水分補給のため冷蔵庫からキンキンに冷えたお茶を取り出した。


約一ヶ月ぶりに帰ってきた我が家。

今は誰も住んで居ないので、大分生活感が抜けた空間になってしまったけど、ホコリは容赦無く溜まっていくので、こうして月に一、二回程度家全体を掃除しなくてはいけない。

他にも、溜まった郵便物の回収など、何だかんだこまめに通うことになり、正直面倒臭い。

それでも、やっぱり生まれ育った我が家が一番リラックス出来るので、私は冷たいお茶を飲みながら、まったりと一人の時間を満喫した。


そういえば、今日は俊君も実家に帰るって言ってたっけ。

同じ高校生で上京してまで夢を追いかけるなんて、つくづく私の周りには凄い人達ばかりだなと。

改めてそう感じながら、私はソファーに転がっていたスマホに手を伸ばした時だった。