こうして、海斗さんの話が終わったタイミングでケーキが届き、それからはたわいもない会話やモデルの話で盛り上がっていると、気付けば空は茜色に染まっていた。


楓さんは第一印象が衝撃的だったので、始めは緊張したけど、話せばとても気さくな人だと分かり、海斗さんに負けないくらい優しくて魅力溢れる人なんだと。


この短時間で彼女の人柄がよく伝わってきて、出来ることならもう少し長く話していたかった。

しかし、そろそろ帰る時間が差し迫ってきたので、私達は渋々ここで会話を中断すると、お会計を済ましてから店を後にする。



「ところでさ、二人とも好きな人いるんでしょ?」


すると、別れ際。

前触れもなく投げられた楓さんの質問に、私と恵梨香は二人同時に肩を震わせた。

「特に、恵梨香ちゃん。あなたも海斗に相当ハマってるわよね?」

そして、ズバリ図星をつかれる恵梨香。

確かに、あれだけ分かりやすい態度を取れば、当然の結果だと思うけど、恵梨香は動揺を隠しきれないようで目が泳ぎ始める。


「あたしもミーハな気持ちじゃないんです。始めはそうだったかもしれないけど……。楓さんの話を聞いても、それでもあたしは絶対諦めたくないんです!」

けど、最後にはいつもの彼女らしい力強さを見せると、楓さんは柔らかく微笑み、恵梨香の頭に優しく手を置いた。

「諦めたくないなら、その強さをそのまま貫いてね」

そして、恵梨香の目を真っ直ぐ見据える楓さんの一言がとても重く響いてきて。

恵梨香に言った言葉だけど、まるで自分にも言われているようで、私は思わず胸に手を当ててしまった。