それから写真を受け取ったまま、微動だにしなくなった恵梨香に、私は緊張と不安で変な汗が滲み出てくる。


「……い」

すると、微かに聞こえた声に背筋がピンと伸びた。

「凄いよ、加代っ!顔はよく見えないけど、凄く綺麗っ!このワンピースも凄く似合ってる!」

そして次の瞬間、瞳を輝かせながら、恵梨香は勢い良く私の両手を強く握りしめた。

「えと……あ、ありがとう」

まさか、ここまでの反応を見せてくれるとは思いもよらず。

私は拍子抜けすると、後から恥ずかしさや照れくささがじわりじわりと込み上がってきて、ぎこちなく笑ってみせる。

「海斗さん、加代をここまで変えさせてくれて、本当にありがとうございます。親友として改めてお礼を言わせて下さい」

そして、急にかしこまって海斗さんの方へ向き直すと、恭しく頭を下げる恵梨香の姿に、私は胸の奥がじんわりと熱くなった。

これまで恵梨香には沢山救われて、励ませれてきたけど、改めて大切に思われていることがしっかりと伝わってきて。

先程の自分の考えがいかに愚かだったと、何だか申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

そんな私達を海斗さんは終始温かい目で見守り、暫くの間この空間に穏やかで優しい空気が流れた。