可笑しいな。

映っているのは私なのに。

やはりプロが撮ったものだからか。

自分で言うのもなんだけど、そこに映る二人は綺麗な一枚の絵に仕上がっていた。


写真越しから感じる、私に向ける海斗さんの熱い視線。

その妖艶な目つきが、あの時の記憶を刺激してきて、徐々に鼓動が高鳴ってくる。

そして、何より驚いたのは、海斗さんに抱かれる自分の姿。

顔は出さないという条件だったので、斜め後姿しか映っていないけど、その佇まいからは何処か色気を感じ、海斗さんと上手く釣り合っているような気がする……。

…………。

……ああっ!

私ってば自分で何言ってるんだろう!

思わず自画自賛してしまうなんて。

嬉しいやら、恥ずかしいやらで混乱する中、隣に座っていた恵梨香が興味津々に覗き込んできて、私はつい条件反射で写真を伏せてしまった。

「ちょっと、何隠してんのよ!勿体ぶらないで早く私にも見せてよ!」

当然ながらに不服な表情で頬を膨らませる恵梨香。

私も見せてあげたいのはやまやまだけど、これは大分海斗さんと密着しているシチュエーションなので、果たして今の恵梨香に見せていいものなのか。

けど、このまま見せないのも可笑しな話なので、私は恐る恐る写真を手渡した。