その直後、予想外の光景に、思わず手に持っていた鞄を床に落としてしまった。


「じゃ~ん、ビックリした?お母さん頑張って用意したのよ」


その隣では嬉しそうに目を爛々と輝かせている母親の姿。

私は唖然とその場に立ち尽くした。


だって、目の前には場違いな程の豪華なディナーが食卓一面に広げられていたから。


生ハムやアボカド、様々なトッピングが施されたクラッカーに、色濃いソースがかかったローストビーフ。


黄色、緑、赤と色鮮やかな3種類のパスタの隣には、湯気が立ち昇る熱々のマルゲリータ。


そして、焼きたてのクロワッサンの隣には、大きな粒のコーンが入ったスープなどなど……。


クリスマスよりも豪華で、まるでホテルのバイキング並みの種類が揃うご馳走の前に、私は開いた口が塞がらなかった。