その時、何気なく視線を店内に向けると不意に店員さんと視線があってしまった。


店員さんはガラス越しでにっこり微笑むと“新作ご試着してみますか?”と言ってお店の扉を開いてきた。


そこで私は、自分がどれ程の間、その場に立ち止まっていたのか気付かされる。


私は全身が熱を帯びてくるのを感じると、慌てて店員さんに一礼をしてその場を逃げるように去っていった。



しばらく無我夢中で走り、そろそろ自分のスタミナに限界を感じ徐々にペースを落としていく。


しかし走ったと言っても、持久力皆無の私は未だにお店を目視できる距離しか離れていない。


小刻みに肩で息をすると、私は小さな点となった“Sweet*time”に目を向けた。