中に入ると綾さんはデスクに座ってパソコンと睨めっこしていて、こちらの存在に気付くと、私達を応接室のソファーに案内してくれた。


「悪いな。こいつの都合に合わせてもらって。本当は、先にこれを渡したかったんだ」

そして、ファイルに挟んでいた茶封筒を目の前に差し出され、一体これが何なのか皆目見当がつかないまま恐る恐る封を開けてみる。

「……あ」

それから、中に入っていた一枚の写真を手にした瞬間、思わずその場で固まってしまった。

「あの時撮影した写真。結局没になっちゃったけど、せっかくだから記念に渡そうと思って」

そう満足気な表情で教えてくれた海斗さんの話に、私は改めて写真をまじまじと見つめる。