本当に、この人達はなんなんだろう。

さっきまで真面目に海斗さんとお仕事をしていたのに、いきなり見ず知らずの私達に絡んでくるなんて、失礼極まりない。


とにかく、下心丸出しのまとわりつくようなしつこさから一刻も早く解放されたくて、私は尚も抵抗しようと口を開いた時だった。


「君達、こんな所で何してるの?」


突如頭上から聞こえてきた低い声。

天の助けと思い、すかさず声のした方を見上げた瞬間、私は自分の目を疑った。

そこに映るのは、これまでに見たことがない程、冷たく無機質な海斗さんの表情。


つい先程まで目の前で撮影をしていたのに、いつの間に背後に立っていたのか。

それよりも、こんな姿を見るのは初めてで、私は唖然としていると、隣にいた男達は即座に私達から離れ、背筋をピンと伸ばす。

「か、カイトさん。お疲れ様です!俺達はただこの子達と話していただけで……」 

「何でもいいから、早くここから離れてくれる?」

そして、顔を真っ青にしながら弁解しようとしたところ、海斗さんは小さく笑みを浮かべて、静かに牽制する。

その効果は覿面のようで。
二人のモデルは海斗さんに逆らうことなく、直ぐに眼鏡を返すと、逃げるようにその場を離れて行った。