「へえ～……君達がカイトさんの知り合いの子？」

すると、突然背後から誰かに声を掛けられ、勢い良く振り向いた視線の先には、先程まで海斗さんと一緒に撮影していた二人の男性モデルが立っていた。

「可愛いね。特に君、本当に一般人なの？めっちゃ俺のタイプだわ」

そのうちの一人が馴れ馴れしく恵梨香に近付き、顔を覗き込んでくる。

年齢は海斗さんと同じか、もしくはそれより下か。

チャラチャラした雰囲気と、ぐいぐいと迫って来る図々しさに、嫌悪感で思わず表情が歪んでしまう。　　

「撮影見たいので邪魔しないでくれませんか？」

一方恵梨香は怯むことなく、絡み付く視線をものともせずに毅然とした態度で相手を睨み付ける。

「そんな怖い顔しないでよ。俺達はだだ君達と仲良くしたいだけだからさ。何なら、撮影終わったらご飯でもどう？」

けど、こちらの空気を全く読まずに、尚も恵梨香にしつこく絡んでくる男性モデル。

「あ、あの。もうやめて下さい！」

これ以上見るに耐えない私は、恐怖心と戦いながらも、恵梨香を守ろうと両手を広げて相手を必死に威嚇した。


すると、隣にいたもう一人の男の手が突然伸びてきた途端。
掛けていた眼鏡を外され、私は何が起きたのか状況を把握出来ずにその場で固まってしまう。

「やっぱり。君も眼鏡外すとめっちゃ可愛いね。俺どっちかって言ったら君の方が好みかなぁ～」　

しかし、そんな私を余所に男は取り上げた眼鏡を指先で回しながら、もう片方の腕を私の肩に回してきた。


いきなり肩を掴まれてしまい、免疫がない私は恐怖で全身一気に震え上がる。