「そう言えばこの子が特別ゲストか?」

すると、今度は私の隣で唖然とする恵梨香に視線を切り替えてきた綾さん。

恵梨香も綾さんのスタイルの良さに見惚れてしまったのか。
暫くぽかんと口を開けたまま動きが止まっていた。


「……は、はじめまして。加代の友達の白石恵梨香です。すみません。今日は私までお邪魔しちゃって」

それから向けられた視線に気付き、ふと我に返ると、私とは打って変わり、恵梨香は堂々とした立ち振る舞いで礼儀正しく一礼する。

その様子を綾さんは顎に手を充てながら、恵梨香の頭から足のつま先までじゅんぐりと視線を巡らした。

「ほお~……これまた、えっらい美少女連れてきたな。あんた、この世界に興味あったりする?」

そして、まるで獲物を捉えた鷹の如く。
綾さんの瞳の奥がきらりと光り、恵梨香との距離をどんどん縮めていく。

「あ、あの……あたし、あんまり芸能に興味は……」

流石の恵梨香も気迫に押され、若干尻込みしながら一歩後退した時だった。

「ストップ。綾さん、あまり彼女をビビらせちゃだめでしょ」

恵梨香を庇うように、二人の間に突如割って入ってきた海斗さん。

「……ったく、冗談だ」

邪魔が入ったことに舌打ちをする綾さんの表情を見た限りだと、全然説得力がない。

一方、恵梨香の意識は完全に海斗さんの方に向けられていて、頬が緩んだまま先程からぴくりとも動かない。

「兎に角、時間も押してるし、お前はさっさと準備しろ。加代達は私が後で特設の見学席に案内するから」

それから、綾さんは海斗さんを適当に片手であしらうと、私達は事務所を離れスタジオへと案内された。