こうして、あれよあれよと言う間にテスト周期に入り、ついに迎えた最終日。


全ての試験科目を終了させた私達は、先ずは一息付くため、学校から近場のファーストフード店でお茶することにした。


平日のお昼過ぎだけに店内はがらんとしいて、お客さんと言えば私達と同じ学校の人数名と、テーブルを二つ並べて大音量で話すマダム達くらいだった。

私は期間限定のチェリー味シェイクを堪能しながら、目の前で鼻歌を歌っている恵梨香の顔をちらりと覗く。

「恵梨香、随分ご機嫌だね。今回のテスト上手くいったの?」 

先程から終始笑顔を絶やさない様子に私は首を傾げると、恵梨香はまるでコントのように豪快に肩をずり落とした。

「んなわけないでしょ。あたしの頭の中はカイトのことだけだから。ていうかテストどころじゃないし。てか、そんなものとっくに切り捨ててるし」


そんな真顔で、さも当然のように開き直られても。


とりあえず苦笑いで応えると、突然恵梨香は鞄からスマホを取り出し、目を輝かせながら、あるトーク画面を私に見せてくれた。


「そう言えばさ。この前さり気なく彼女いるか聞いてみたら、今はまだフリーなんだって。つまり、私にもチャンスがあるってことだよね!?」

そして、興奮気味に教えてくれた恵梨香の話に、私は目を丸くする。