「加代ちゃん。あなた今何気にさらっと凄いこと言ってのけたけど……それマジで言ってるの?」

震えた声で、更に言えば全身を震わせ、おずおずと尋ねてきて恵梨香の質問に、私は大きく首を縦に振る。


そこから流れる、暫しの沈黙。


というよりも、恵梨香がまるで石像のようにビクとも動かなくなってしまったと言った方が正しいのか。


すると、ようやく意識が現実へと戻されたようで、覚束ない足取りでこちらに近付いて来た途端。突然私を力強く抱き締めてきた。

「凄い!夢みたい!あたし、雑誌の中のカイトを間近で見れるのね!?もう加代が愛し過ぎる!!」

興奮の余り力一杯抱きしめられ、危うく窒息しかけたけど、恵梨香の本当に幸せそうな笑顔を見ると、何だか私まで嬉しくなり、つられて笑顔になる。