「お~い、加代、ちょっと聞いてるの?社会科室の鍵開けてくれない?」

すると、ぼんやりと思考を巡らせている中に、突然恵梨香に肩を揺すられ、そこではたと我に帰る。


「……あ、ごめんね!」

私は慌ててポケットから預かっていた鍵を取り出し、扉を開けると、慣れた手付きでプロジェクターとスクリーンを設置し始めていく。


「ところでさ、来週の期末テスト最終日って確か部活なかったよね?」

「ないけど、何で?」

「それなら海斗さんの事務所に行かない?海斗さんに誘われて恵梨香も一緒においでって。ついでに撮影の見学もしていいって」

「いいね。あたしもその日は丁度暇……って、はいっ!?」


そして、作業中にふと思い出した昨日の話を何気なくしてみたら、スクリーンの設置を終えた恵梨香の盛大に驚く声が部屋中に響いた。