地味な配色が並ぶ駐車場に、ぽつんと一際目立つ真っ赤なセダン。


母親の車だ。


いつも帰りは夜遅く、早くても夕飯を作り終える頃なのに、今日は私を待っているかのように赤い車はそこにあった。


「どうしたんだろ……」


なんだか妙な胸騒ぎを覚えた私は、取り出した鍵を鞄にしまうと、恐る恐る玄関の扉を開けた。