「はあ~……」
荷物の重さと、空気の重さに耐えかねず、気付けば自然と深いため息が漏れる。
すると、突然肩に掛かっていた負担がふと消え去り、驚いて背後を振り向くと、そこには代わりにスクリーンを軽々抱えて仁王立ちしている恵梨香の姿。
「やっと見つけた。まったく、部活の遠征試合から帰ってきたかと思えば、あの話は一体何?いつの間にそんなことになったの?」
そして、気迫溢れる剣幕でにじりにじりと詰め寄られてしまい、その勢いに圧された私はつい後ずさってしまう。
そもそも、なんでこんな目に遭っているのか。
それもこれも、全ては尾鰭背鰭が付いて校内中を勝手に泳ぎ回っている“あの噂”のせいだった。