「何だあの超無愛想な奴。お前の友達?」

岡田君の素っ気ない態度に気を悪くした俊君は、眉間に皺を寄せ、去っていく彼の背中を見ながら悪態をつく。

「う、うん。友達って言うか、幼馴染みかな。本当ならもう少し笑ってくれる人なんだけど」

私も再会してからあそこまで冷たくされたのは初めてで、少し戸惑いながらも苦笑いで答えた。

心無しか少し怒っているようにも見えたのは、私の思い違いなのか。

そんな不安まで過ぎってきたけど、兎に角こうして俊君に会えたので、私は気を取り直して笑顔で彼の方へと向き直した。


「それよりも、俊君勝利おめでとう!あと、足の方は大丈夫?」

ようやく伝えることが出来たお祝いの言葉と、怪我の具合が心配で、ガーゼが施された俊君の足元に視線を落とす。

「……あ、ああ、さんきゅ。足は全然平気だけど、傷だらけで格好悪いよな」

言われてみると、先程のスライディングで腕や膝も擦り切れていて、痛々しい俊君の姿に益々顔が険しくなってしまう。

けど、決して格好悪いだなんて思わないので、私は勢いよく首を横に振り、全力でそれを否定した。

「そんなことない。俊君の諦めない所とか、折れない信念とか。とにかく全てが輝いていて、見てて感動したの。だから凄く格好良かった!」

それから、脳裏に浮かび上がってきた俊君の勇姿に再び胸が熱くなり、この気持ちをストレートにぶつけた。

「お前、よくそんな恥ずかしいこと平気で言えるな」

すると、たちまち俊君の耳が赤く染まり始め、照れを隠すように悪態をつく姿が何だか可愛く思えてきて。

思わず小さく吹き出してしまうと、機嫌を損ねたように、俊君は少しむくれた表情で再び私の頭の中を軽く小突いてきたのだった。