ようやく突き刺さる周囲の視線から解放されたことに、私は緊張の糸が緩んで思わず安堵の息が零れる。

そして、紺野さん達が居なくなった後、この場に残された私と俊君と岡田君。

岡田君はと言うと、先輩達の召集に全く動じることなく、私達の横を通り過ぎると、洗い場の蛇口を捻り二、三回顔を洗い始めた。

暫く流れる沈黙と妙な空気。

「じゃあな」

それから、顔を洗い終わった岡田君は何を言う訳でもなく、私達の方を見向きもせずに無表情のままさっさと体育館へ戻ってしまった。