「俊?……ああ、そうか。あんたが加代の……」

すると、その名に反応した岡田君は一瞬眉を顰めた後、納得したように意味深な一言を吐くと、今度は俊君が驚いた表情を見せる。

「何?俺らのこと知ってんの?」

「本人から聞いた」

淡々と繰り広げていく会話の中、傍から聞けば誤解されかねない内容に、私は先程から冷や汗が止まらない。

けど、有難いことに“同居”という単語に触れないよう気を遣っているのはひしひしと伝わってくるので、私はこのまま何事も起きずに時が過ぎていくのをひたすら願う。


「おい、お前らいつまでそこにいるんだよ!そろそろミーティング始めるぞ!」

すると、早々にその願いを聞き入れてくれた天の声。

……ではなくて、体育館から響いてきた先輩方のとても不機嫌そうな口怒鳴り声に、紺野さん達は慌てて体育館へと戻っていった。