「な、なんで星南校の早川先輩がここに……?」

暫く硬直していた紺野さんはふと我に帰ると、目を大きく見開きながら戸惑った様子で俊君を指差す。

というか、紺野さんまで知っているとは、俊君の知名度はそれ程に高いのかと改めて感心していると、何やら隣でざわめき出すバスケ部員達。


しかも、この場にいる全員が表情を強張らせ、中には後退る者がいたりと。

女子達は頬を染めていたのに、男子達はまるで俊君のことを恐れているようにも見えて。

この差は一体何なのか全くもって理解出来ないでいると、突然紺野さんに肩を勢いよく掴まれ、心臓が思いっきり跳ね上がった。

「ちょっと、何であんたがあの早川先輩と知り合いなの!?」

もはや言葉を選ぶ余裕はないようで、俊君を前に動揺を隠せない紺野さんは、物凄い剣幕で私の肩を強く揺さぶり始める。


「おい」

その時、私の肩を強く掴む紺野さんの手に、そっと自分の手を重ねてきた俊君。

「もう少し優しくしてやってもいいんじゃねえの?」

そして、悪戯な目を向けながら、小さく口元を緩ませると、まるで蒸気が立ち上る程、紺野さんの顔が一気に赤く染め上がる。