「っあ、いた」

すると、突如背後から響いてきた軽快な声。

「加代、お前何処行ってたんだよ。探したぞ」

その聞き覚えのある声に振り向くと、視線の先に映るのは、程までグランドにいたはずの俊君の姿。

突然現れた俊君に私は肩の力が抜け、表情が解れていく一方。
紺野さんやバスケ部員達は思いがけない人物に、皆その場で唖然としていた。


「たく。声も掛けずにいなくなるなんて、つれねー奴だな」

しかし、周囲の視線を受けながらも、それをものともせず私の元へ近寄ると、俊君は少し不貞腐れた様子で軽く頭を小突いてきた。

「ごめんなさい。俊君の試合を見てたら熱くなって、少し頭を冷やそうかと……」

「なんだそれ。てか、俺もしかして邪魔した?」

そんな彼に苦笑いで答えると、怪訝な表情を向けてきた俊君は、ようやく紺野さん達の存在に気付くと、特に悪びれた様子もなく周囲に視線を向ける。