それはあっという間の出来事だった。

我が校チームのヘディングシュートにより、油断していたキーパーの遥か上空をボールが通過し、ネットに飛び込んでから地面へと落ちる。

その直後、設置されている得点ボードが静かに捲られ同点を告げた。

同時に沸き起こる我が校チームの歓喜の雄叫びと、観客席からの落胆の声。

強豪相手にここまで喰らい付いているのだから、うちのサッカー部の実力も誇らしいものなのに、まるでアウェイな状況に同情する。

けど、せっかく俊君が決めてくれた得点をこうもあっさりと振り出しに戻されてしまい、私も落胆せずにはいられなかった。


試合終了時間まで残り十分をきったところで同点へと追い込まれ、いけないと思いつつも後ろ向きな考えが頭をよぎる。

そんな中、一息入れる間もなく直ぐに再開された試合。

刻々と時間が迫まり、フィールド内の緊張感が更に高まる。
 
しかし、張り詰めた空気が流れていても、俊君の瞳は真っ直ぐと敵陣のゴールを見据えていた。