フィールドのセンターラインを越えて、あっという間に敵チームの陣営へと踏み込んだ星南高。

最後の攻撃を託すように、ミッドフィールダーから俊君へとボールが回される。

同時に、再び観客席から沸き起こる黄色い声援。

私も次のゴールを期待して、躊躇いがちに小さく声援を送った。


__次の瞬間。


ゴールへと突き進もうとする俊君の目の前に、一人の選手が行く手を阻むように立ちはだかる。

相手は肩幅がとても広くがっちりとした体型のため、俊君の視界を完全に遮り大きな壁となった。


一瞬だけ表情を歪める俊君。

しかし、それに動じることなく、右足でボールを自在に操り、体を反転させて壁をすり抜けようとした手前。

まるで獲物を狙う鷹の如く、脇から機敏な動きでボールを奪った敵チーム。

「くそっ!」

一瞬目が点になった俊君だけど、相手の策略に悪態をつくと、ボールを取り戻す為全速力で敵の後を追う。

すると、ディフェンス体制に切り替わろうとする手前、不意打ちのロングパスに驚愕する星南高。

その上空を追い越し、真っ直ぐに伸びていくサッカーボール。

不意を付かれたロングパスに、がら空きとなっている星南高のゴール手前までボールが伸びていく。

そして、唯一敵陣で待機していた選手の頭上に落ちてきた瞬間。

受け止めるよりも先にゴール目掛けて頭でボールを押し込める。