ゴールネットに勢い良くボールが飛び込み、反動で柱が震える音が鳴り響く。

その瞬間、まるで時が止まったように一瞬だけ静まり返ったけど、俊君の歓喜の声と同時に空気が震える程の歓声が一面広がり、観客席は黄色い声で包まれた。

私も一緒になって叫びたいところではあるけど、流石に恥ずかしくてそこは思い留まった。


それから、俊君のシュートが決まり、試合終了時間が迫る中、一歩リードすることが出来た星南高チーム。


一方、窮地に追われ更なる緊迫した空気が流れる我が校チーム。

ゲームが再開後も連携パスで何とかゴールまで繋いでいくけど、そこは最強と謳われている星南高。 

上手く繋がれているパスでも一瞬の隙があればすかさず奪い取り、あっという間に試合の流れを変えていく。

流石は全国大会常連校だけあり、ど素人の私が見ても分かる程、一人一人の技術が洗練されて、無駄のない動きと的確な判断力。

オフェンス力も段違いで星南高の方が高いけど、僅差を保っているのは我が校チームのディフェンス力が高いからなのか。

強豪校相手にここまで粘れるのだから、うちのサッカー部も相当な実力なのだろう。

けど、今はそれが忌々しく感じて。申し訳ないと思いながらも、頭の中はただひたすら俊君の勝利を願い続けていた。