「はあ、はあ。」
私は肩で息をしながら、全速力でグラウンドまで走り、ようやく辿り着くとそこには既に沢山の人集りが出来ていた。
その半数以上は女子生徒で、うちの生徒だったり、星南高の生徒だったり、はたまた別の学校の生徒が入り混じったりと。
まるでお祭り騒ぎのような。俊君に対する黄色い歓声が絶え間なく響いて来て、その凄まじい人気ぶりに、暫くその場で立ち尽くしてしまった。
確かに星南高といえば全国大会常連校だし、あのルックスで実力もあれば絶対モテるだろうなと思っていたけど、まさかここまでとは……。
海斗さんといい、俊君といい、改めて二人のカリスマ性を目の当たりにした私は、少しの間意識が遠のいていく。
けど、そんな悠長なことをしている場合ではなく。
応援すると約束したのだから、先ずは居場所の確保と。私は勇気を振り絞って、ひしめき合う女子達の群れの中へと突入していった。
時折体がぶつかったり、思いっきり睨まれたり、悪態をつかれたりしたけど、何とか隙間を見つけて無理矢理体を滑り込ませる。
そして揉みくちゃになりながら、ようやくフェンスの前まで辿り着くことが出来た私は、呼吸を落ち着かせ、グラウンドへと目を向けた。