「そっか!星南高の練習試合って確か今日だよね!?」

それとほぼ同時のタイミングで、隣に座っていた子も思い出したように声を張り上げると、周囲の目の色が一気に変わる。

「やばっ。それじゃあ俊先輩来てるってことだよね?」

「それじゃあ、早く行かないとダメじゃん!見れなくなっちゃうよ!」

途端に、これまでとは比べ物にならないくらいの機敏な動きで女子達は持っていた荷物を教室まで運び、急いで戻るとそのまま校庭へと一目散に向かって行った。

その様子を終始呆気にとられながら眺めていた私。

まさか俊君がそこまで有名人だったとは、全く知らなかった。

というか、せっかくチェックしておいたのに、今日という日をすっかり忘れていたなんて。


例え文化祭の準備に追われていたとしても、そんな自分が信じられなくて、私も慌てて皆んなの後を追う。