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「山田さん遅いっ!五分遅刻!」

「ごめんなさい」

案の定。

なんやかんやで結局集合時間に間に合わなかった私を、開口一番に諌めるクラスメート。 

一応余裕を持って家を出たはずなのに、岡田君と話していたらあっという間に時間が過ぎていて。

弁解をしたいところではあるけど、逆効果でしかない気がして、余計なことは言わずにひたすら頭を下げ続けた。


衣装班は私含めて計女子八人。

テーブルには既に沢山のメイド服のデザイン画が並べられていて、如何に自分を可愛く見せられるか白熱した議論が繰り広げられている。

私は全く乗り気ではなかったけど、一応リーダーとしてある程度の準備はしていこうと、自分も用意して来たデザイン画を鞄から取り出した。


「あ、これ超可愛いっ!」

すると、脇に座っていた茶髪気味の女子がすかさずそれを取り上げると、そこに周りの視線が集中する。

「本当だ。形はシンプルだけど、ちゃんとメイド服だし、これなら私達でも作れそう」

「なんかコスプレ感あんまりしないね。エプロン外せば私服でもいけそうな感じじゃない?」


それから洗練されたデザイン画に周囲の注目が高まり、想像以上の反響の良さに私は鼻高々で頷いてみせる。