この玄関を通り過ぎれば、またいつもの日常に戻ってしまう。

クラスは離れ離れだし、また直ぐに紺野さんが岡田君の隣を独占するだろうから、今みたいに気軽に話せないし、周りの目も少し怖い。

例え岡田君との距離が縮んだとしても、結局未だ二の足を踏んでいて、思うように進めない自分がもどかしくて、つくづく嫌気がさしてくる。

とりあえず、お互い自分の下駄箱まで向かい、靴を履き替えてから彼の元へ戻ると、何故かその場で佇む岡田君の後ろ姿に、何だか嫌な予感がしてきた。

それから、恐る恐る彼の隣に立つと、案の定。

岡田君の手には一枚の手紙が握られていて、そこにはびっしりと思いの丈が綴られいた。