それから、学校までの道中、私達は十年分の身の上話に花を咲かせる。


そこから色々と知る事が出来た彼の事情。

岡田君がここへ戻ってきたのは中学二年生の時で、お父さんの仕事の都合上一時期転居が激しかったけど、ようやく落ち着き、ここで新居を構えたのだとか。

ただ、私の実家からは離れてしまったので、昔みたいに気軽に会えることが出来なくなってしまったのは非常に残念だった。


私は私で、母親の急過ぎる海外転勤のこと。

そして、親戚の家での居候生活と二人の下宿人。


後者は伝えようか迷ったけど、隠し事も嫌だったので全てを打ち明けると、始めは面白可笑しく聞いていた岡田君の表情が段々と曇り始めてしまった。


「知らない男と同居って大丈夫なのか?今も変わらなければお前人見知りする方だろ?それに……」

恵梨香同様。

岡田君も私を気遣ってくれたのは凄く嬉しかったけど、何故か最後は言葉を濁されて私は首を傾げる。


「確かに始めは大変だったけど、今は全然平気。二人とも凄くいい人達だから」

「……そっか。ならいいんだけど……」

何はともあれ、岡田君にはこれ以上余計な心配をかけさせないよう、満面の笑みで答えると、これまた何故か微妙な反応をされてしまい、益々訳が分からない。

そうこうしている内に、私達は校舎の玄関前まで到着し、そこで会話は中断されてしまった。