___季節は六月に差し掛かる頃。


初夏の兆しが垣間見えて、強い日差しが照り返すアスファルトの道。

私はじわりと滲み出る汗を拭いながら、早朝の閑散とした路地を歩く。

住宅街を挟むこの細い道が学校までの近道であるため、通学時間帯はここを活用している生徒が割と多い。

けど、時刻はまだ七時前で、歩いている人と言えば、これから出勤するサラリーマンくらい。

そもそも、こんなに早く登校するなんて、始めてかもしれない。

朝が苦手な私は、いつも登校時間は遅めの方なので、早朝とは無縁だと思っていたのに……。

だけど、これからはちょくちょくこの時間に登校しなくてはいけない。

どんなに眠くても、例え目覚まし時計を一個増やすことになったとしても、私はこの時間に登校しなくてはいけないのだ。