皆目見当もつかない私は悶々としながら暫く考え込んでいると、不意に恵梨香に両肩を強く握られ、その勢いに度肝を抜かされた。

「けど、そんなの関係ないから。あの二人がどうであろうと、まだ付き合ってる確証はないんでしょ?それなら、こっちが変に怖気付く必要なんてないから!」

そして、相変わらずの強気発言が、後ろ向きな考えばかり浮かんでしまう私の悪い癖を正してくれて。
恵梨香に喝を入れられた私は、背筋をピンと伸ばす。

「うん、そうだよね。私は、まだまだこれからなんだから」

今までの私なら、ここで引き下がっていたかもしれない。

けど、海斗さんに変わるきっかけを作ってもらって。

俊君の真っ直ぐな信念を見て。

自分も進まなくてはいけないと、今ならそう強く思える。