水曜日の試合って、確かこの前言ってた……。


「……ふ~ん。あいつってあんなに熱血なんだ」

以前の記憶を掘り起こしていると、いつの間に居たのか。背後から突如聞こえた声に驚いて振り向くと、そこには腕組みをしながら渋い顔をした恵梨香が立っていた。


「え、恵梨香、全部聞いてたの?」

「一通り。しかし、あいつの頭の中って本当にサッカーのことしかないっていうか、なんていうか……」

「格好いいよね」

呆れ顔でぼやくも、最後は何故か押し黙ってしまい。そんな恵梨香の考えていることが手に取るように分かり、にんまり顔でその先に続くであろう言葉を言ってみる。

「……少しね」

やはり図星だったようで。
素直に認めたくないのか、若干不服そうな表情に、私はくすくすと肩を小さく震わせた。