「俊君、ご飯出来たって」

近付いても一向に反応を示さず、心配になってきた私は側まで寄って顔色を伺う。

「……ああ、暫くしたら行くから」

俊君は相変わらずこちらに視線を向けることなく、遠い目をしたまま返事だけしてきて。
こんな覇気がない姿を見るのは初めてかもしれない。

帰ってきた時も何だか落ち込んでいるようだったし、もしかしたら今日の試合は相当調子が悪かったのだろうか。

その話題に触れたら凄い剣幕で睨まれてしまったけど、やっぱりほっとくわけにもいかず。
私は意を決してもう一度挑戦することにした。

「俊君大丈夫?帰ってきてからずっと元気ないよね?」

しかし、こんな時にどう言葉をかけていいのやら。

下手に励ますようなことを言っても逆効果かもしれないし、余計なお世話かもしれないので、とりあえず、当たり障りなく探りを入れてみる。

すると、暫く沈黙が流れた後、俊君の深いため息が静寂を破る。