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1日の授業が終わり、私は机の中の教科書を鞄の中にしまい始めた。


周囲は部活動に行く準備をしていたり、机に座って世間話をしてたりと、教室内は未だ賑わっている。


一方、部活もないし放課後にお喋りするような人もいない私は、さっさと帰り支度を済まして足早に教室を出ていった。



時刻は5時半頃。

授業が終わったばかりなので、辺りを見渡すと下校する生徒は私くらいしかいない。

けど、特に気にとめることなく、今日はずっと追っていたシリーズ小説の発売日の為、いつもの書店に行こうと玄関口へ向かおうとした時だった。


背後からとある人物の話し声が聞こえ、私は思わず足を止める。


気付かれないようにそっと声の主に視線を向けると、小刻みに脈を打っていた心臓が、大きくはね上がった。