「ただいまぁ~」


その時、玄関の扉が開く音が聞こえ、廊下から明るい伯母さんの声が響いてきた。


「おかえりなさい」  

「っあ、加代ちゃん丁度良かった。お母さんから手紙届いてたわよ」

買い物袋を引っ提げながらリビングに入ってきた伯母さんは、私の姿を見るや否や、手に持っていた白い封筒を渡してきた。

見ると流暢な筆記体で住所と母親の名前が書いてあり、一先ず自室で読もうとリビングを後にする。


私の部屋は、階段を登った先の通路の奥側。

海斗さんと俊君の部屋は通路の手前側で向かい合っていて、私と彼らの部屋の間には空き部屋がいくつかあった。

本当に、こんな広い家に海斗さん達が来るまでは、二人だけで暮らしていたというのだから驚きだ。

私はそれなりに距離のある廊下を歩き、自室の扉を開ける。


中は自宅と同じ、ベッドと机と本棚だけという相変わらずの殺風景だが、家具がピンクと白を基調としたフェミニン風のデザインのものばかり。

カーテンも淡いピンクの花柄で、壁掛け時計もお花の形をしていたりと。

自分だったら絶対にこんな可愛い部屋にはならないと思いながらも、ここまで揃えてくれた伯母には感謝の気持ちで一杯だ。

私は白い木製の机からはさみを取り出し、丁寧に封を開けて、手紙を取り出す。