「あんなの着れたら自信持てるかなぁ……」

つい頭の中に浮かんだ言葉が口に出てしまい、私は慌てて周囲を見渡し誰もいないことを確認した。


一先ず誰にも独り言を聞かれてないことに胸を撫で下ろすと、再び視線をワンピースに向けた。

何度見てもその可憐な見栄えにため息が漏れる。

着飾っているのはのっぺらぼうのマネキンだけど、何故かないはずの顔から最近よくテレビに出てる、清楚キャラで話題の十代の女優さんの顔が浮かんできた。


しまいにはその女優さんの長い艶やかな黒髪とワンピースが、優雅に風になびくシーンまで見えてくる。


あくまで想像の世界だけど、そこに佇む女優さんは絵になるように綺麗だった。


「はぁ……」


これで何度目だろう。


思い描いた光景に再びため息をもらす私。


本当に美人は何を着ても似合う。


ここに飾られている全ての洋服を意図も簡単に着こなしてしまうくらいに。


それに比べて私は……。