なんて長い睫毛なんだろう。
本当にお人形さんみたい。

ていうか、寝ている姿も美し過ぎる。
   

私は滅多に見ることはない貴重な海斗さんの寝顔に暫く見惚れてしまった。


もし恵梨香がこの場に居たら、一体どんな反応を見せるのか。

もしかしたら卒倒ものかもしれない。


そんなことを頭の中で考えながら一人で笑っていると、急に海斗さんの体がぐらつき、私の方へともたれ掛かってきた。


「……っ!?」

その瞬間、私は声なき声をあげてその場で硬直する。

同時に、香水とも違う仄かなお花のような香りが鼻をかすめ、何時ぞやの記憶が脳裏に蘇り、体が急激に熱くなり始めた。


ちょ、ちょっと待ってくださいっ!

私の肩、枕じゃないです!


……と声に出せないから心の中で叫ぶ私。


しかし、そんなパニック状態の私なんて露知らず。

海斗さんは相変わらず熟睡モードなので、このまま起こすのは忍びなく。

益々鼓動が早くなる中、どうすればいいのか狼狽えていた時だった。