「な、何でもないよ。き、気のせいだって」
嘘が苦手な私はあからさまに動揺してしまい、相変わらず隠すのが下手な自分がほとほと嫌になる。
でも、心配してくれる俊君には申し訳ないけど、好きな人のことで悩んでいるとはとても言えず。
ここは無理矢理でも押し通すしかないと、心に決めた。
「あっそ」
とりあえず、詳細は触れられなかったけど、明らかに納得していないという視線がひしひしと伝わってくる。
「とりあえず、後ろ乗れよ。どうせ同じ道なんだし」
「へ?」
すると、俊君は突然自転車の荷台を親指でさしてきたので、思わず間の抜けた声が出てしまう。