すると、不意に岡田君は乾いた笑いを見せると、小さく溜息を吐いてフェンスにもたれ掛かった。


「なんか俺達バカみたいだな。お互い勘違いして一年以上も棒に振ってたんだ」

苦笑しながらそう言われたことに、私も激しく同意する。

「本当に勿体無いね」

まさしく、その言葉に尽きる。

高校生活はたった三年しかないのに、そのうちの約半分近くを捨ててしまっていたなんて。

これがもし始めからそれに気付いていたら、どれ程楽しい学校生活を迎えられていたか。

今思うと後悔で押し潰されそうになるけど、それでもやはり、以前の姿で岡田君に話しかける勇気はないなと。

結果的には同じだと改めて思い直す。

何はともあれ、昨日はあんな形で逃げてしまったけど、もし、あそこで岡田君と出会わなかったら、私達は勘違いしたまま卒業していたかもしれない。

そんな最悪の事態にならなくて良かったと、今は心からそう思う。