それから、訳が分からないまま、終始無言状態で拉致された先は誰も居ない屋上。

そこでようやく手を離してくれて、私は未だ残る温もりを確かめるよう手首に触れた後、彼を見上げた。

「あ、あの……昨日はごめんなさい。突然逃げ出したりして」


ひとまず、気不味い空気が流れる前に、あの時の事を真っ先に謝ろうと深々と頭を下げる。


「本当、あれはマジで傷付いたから」


すると尚も険しい表情のまま、最もなことを言われてしまい、罪悪感が重くのしかかる。

そんな中でも、こうして今岡田君の視界に私が映っていると思うと、やはり胸が高鳴り、感無量のあまり涙が出そうになった。

そして、再会してから、こんな間近で彼の顔を見たのは初めてで。

改めて岡田君の整った顔立ちを目にし、思わず感嘆の声が漏れそうになるのを必死で堪える。