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午後の授業が終わり、日直当番だった私は書き終えた日誌を職員室へ届け、教室へと引き返す。


それまでの間、今日一日を振り返ってみると本当に沢山の人と会話が出来て。

この学校に来てから絶え間なく誰かと過ごしたのは、初めてと言っても過言じゃないかもしれない。


これも全て海斗さんのお陰です。


そう改めて心の中で感謝をすると、早くこの事を海斗さんにも伝えたくなってきて、私は急足で通路を曲がろうとした時だ。


突然背後から誰かに勢いよく腕を掴まれ、私は軽い悲鳴と共に体が後ろにそれる。

この神出鬼没具合は、間違いなく恵梨香だと。

これまでの経験から確信した私は、もう少し普通に声を掛けてもらえないか抗議しようと振り向く。

その瞬間、全くの見当違いな人物が視界に映り、全身が凍り付いた私はその場で固まってしまった。