恵梨香と別れ、私は少し緊張した面持ちで自分の教室の扉をがらりと開ける。
クラスから外れ気味の私は特に朝の挨拶を交わす相手もいないので、いつものようにそのまま無言で自分の席まで進もうとした時だった。
「え?あれもしかして山田?」
「うそ。なんか、めっちゃ雰囲気変わってるじゃん」
いつもはそんな私を気にすることなく会話を楽しんでいたクラスメートが、今日は私を見て皆騒然とする。
普段は注目なんて絶対に浴びないので、私は向けられる無数の視線にたじろぎながら、とりあえず自分の席に着いた。
それとほぼ同時に、クラスメートの女子数名が興味津々な眼差しを向けて、勢いよく私の席を取り囲む。
「山田さんどうしたの?もしかしてイメチェン?」
「超可愛い!それ何処で切ってもらったの?てか、顔変わった?」
「なんか眉もめっちゃ綺麗に整えられてるね。私もそこの美容院教えて欲しいんだけど」
まるでマシンガン並の勢いで次から次へと浴びせられる質問や称賛の言葉に、私は次第に頭が混乱してきた。
ただでさえクラスメートと会話をすることに慣れていないのに、どう接すればいいのか分からず、しどろもどろになる中、あの言葉がふと頭をよぎる。