「はあ~……」


私は絶望感に本日最大のため息を吐きながら、校門をくぐりぬけ自分の下駄箱まで向かった。


「……え、えっと……加代?」


その時、背後から覇気のない弱々しい声が耳に届く。

徐に振り向くと、そこには唖然としている恵梨香が立っていた。


「っあ、おはよう恵梨香。今日は朝練ないんだね」

とりあえず、私は何事もないように笑顔で親友に朝の挨拶を交わす。


すると、突然勢いよく両肩を恵梨香に捕まれ、危うく心臓が止まるかと思った。


「何!?どうしたのその髪型!?眉毛も綺麗に整えられてるしっ!なんか、凄い雰囲気変わっちゃってるんだけど!?て言うか、本当に加代!?」


今度は興奮状態で声を張り上げながら、思いっきり私の体を揺さぶる恵梨香。

同時にかけていた眼鏡が反動でどんどんずれていく。

朝からこんなテンションでいられるなんて、この子のエネルギーは毎度計り知れない。


「ちょっ、恵梨香落ち着いて!ちゃんと説明するから!」

このまま揺さぶられ続けると、首がもげそうになるので、私は興奮する恵梨香を一先ずなだめ、事の経緯を話すことにした。