__話はこう。
あの時、私は思いもよらない場所で現れた岡田君を見て、一目散に逃げ出してしまった。
何でそんな行動に出たのか、今でも信じられない。
けど、これまでの反射的に隠れてしまう癖が体の奥底にまで染み込んでいたのと、あの場所に居る理由を上手く説明出来なくて、気付いた時には走っていた。
結局一言も会話をしないまま、その奇跡は呆気なく終わった。
しかも、あの時岡田君は私の名前を呼んでくれた。
ちゃんと私のことを覚えていてくれた。
それだけで、胸がいっぱいになって、凄く幸せな気分になれたのに。
あんな、あからさまに避けたら、これは嫌われたよね。
というか、人として終わってる。
……ああ、どうしよう。
まだ何も話してないのに。
何もしないまま、私の恋はここで終了なのだろうか……。